ダーウィンが迎える博物館

ロンドンの地下鉄、サウス・ケンジントン駅を降りてすぐ、ロンドン自然史博物館(Natural History Museum)の美しい建物は、ぱっと目を引き、私も大好きな建物のひとつ。

大英博物館内の増えていく、動物学、植物学、地質学関係の標本とコレクションを収集、展示するために建てられたもので、1881年に公式オープン。アルフレッド・ウォーターハウス設計により、フランスやドイツの影響を受けたロマネスク・スタイルとの事。

建物の所々に、恐竜や動物の浮き彫りなどもほどこされ、そのひとつひとつを見ていても楽しいです。上を向きすぎで、首が痛くなったりしますが。

入り口で、爆弾なんぞ持っていないか、手荷物検査を簡単に受けて、広々したホールへ足を踏み込みます。

ロンドン内、無料の美術館、博物館は多いですが、寄付箱の様なものは置いてありますので、ポンドのコイン、または円なども、ちょっと太っ腹の気分になったら落としていってあげて下さい。

ホール中心に構えるのは恐竜の模型。ダイナソー(恐竜)という言葉は、生物学者リチャード・オーウェン氏によって名づけられたそうです。彼は、大英博物館自然史部の長として、当自然史博物館の設立に尽力した人物でもあります。

恐竜模型のむこうにある階段の踊り場に、ホールを見渡すように座っているのは、チャールズ・ダーウィンの像。今年は、ダーウィン生誕200年。そして、当時まだ、キリスト教のもと、生物は神の創造物と一般に信じられていた社会に、思想の一大紛争を巻き起こした「種の起源」出版150年記念。この記念の年に、ダーウィン像は、埃を払われて、センター・ステージへ動かされたようです。

最初は親しかった、ダーウィンとオーウェンは、後、進化論を巡り意見が対立。犬猿の仲になったと言います。オーウェン氏の彫像も、階段を登り切った2階の奥にひっそり立っていました。150年の時が経った今、理論の戦い、知名度の戦い、共に、ダーウィンに軍配があがってしまい。それでも、オーウェン氏には、このすばらしい博物館を後世に残してくれた事に感謝。
内部の、建物のディテールも、凝っており、柱には何匹もの猿がしがみついた様子で掘られていました。うち一匹の、この猿、ダーウィン像を、まじまじと眺めています。「僕の父ちゃんに似てるな。」などと思っていたりして。

今月のイースター休暇の際に報道されたニュースによると、ダーウィンが、ビーグル号で南米を訪れた際に持ち帰った鳥の卵が、ケンブリッジ大学で見つかった、という事です。

この卵、色が茶色で、イースター・エッグのチョコレートの様な風体だそうで、とてもタイムリーなニュースでした。卵にはダーウィンの名が書かれ。ビーグル号の探検で持ち帰られた標本の中で、卵は現在知られているものでは、これひとつだけだそうです。

下のリンクのニュース記事で、この卵の写真なども見れます。
Charles Darwin's egg rediscovered

さて、この博物館の周辺には、他に、工芸、装飾品、衣装、その他を展示するヴィクトリア&アルバート博物館(V & A)と科学博物館もあります。皆、無料ですので、博物館のはしごができます。閉館後は、ふらりそのまま、ケンジントン・ガーデンズへ足を伸ばしてみるものよいでしょう。

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